アジア協会アジア友の会、里親募集 /大阪
毎日新聞2015年12月8日 地方版(大阪)からです。
日本にいる里親から支援を受ける子どもたちと交流するアジア協会アジア友の会の熱田典子さん(右)=ネパール・ピトゥリ村で2015年10月10日、幾島健太郎撮影警察官、医者、先生、会計士……。ネパール・ピトゥリ村の子どもたちが次々に将来の夢を語る。ネパールなどアジア5カ国で子どもの教育支援に取り組む 「アジア協会アジア友の会」(大阪市西区)を通じて、日本にいる里親から支援を受けて学ぶ子どもたちだ。里親に背中を押され、将来の夢を実現するために勉 強に励んでいる。協会副事務局長の熱田典子さんに同行し、10月に現地で子どもたちを取材した。【ピトゥリ村で武内彩】
ピトゥリ村は、ネパール中部にある世界遺産「チトワン国立公園」の近くにある。幹線道路から外れ、野生のサイによる農作物被害に悩まされる農村だ。協会 は村にある公立学校3校を支援し、これまでに45人の子どもが里親から援助を受けてきた。ネパールでは小学5年生まで授業料は無料だが、制服代や進級試験 の受験料などが必要になる。現在、支援を受ける25人は里親がいなければ勉強を続けられなかった子ばかりという。
5年生のウマ・チャパイさん(10)は、今年2月から藤井寺市に住む女性の支援を受け、学校に通う。三姉妹の真ん中で、両親はサウジアラビアに出稼ぎに 行き、祖父母と暮らす。母親は6年前にメイドとして働くために家を出てから一度も帰ってこられず、父親も2年前に後を追った。両親からの仕送りで4部屋あ る平屋の家を新築したが、室内にほとんど物はなく、三姉妹はコンクリートの床に布を敷いて寝ている。
仕送りだけでは、三姉妹の教育費を出すのは難しいという。毎朝、ウマさんは皿洗いと炊事場の床を掃除してから登校する。小柄で恥ずかしがり屋だが、勉強 するのが好きで「将来は先生になりたい」と目を輝かせる。別の里親から支援を受ける12年生の男子生徒も高校に進学できて、「大学で経営学を学びたい」と いう目標ができた。
協会は、今年4月のネパール大地震で大きな被害を受けたシンドゥパルチョーク地区やカトマンズに近いバクタプルでも、学校に通うのが難しくなった子ども の里親を募集している。里親会費は年2万円で、子どもたちとは手紙で交流できる。問い合わせは、アジア協会アジア友の会(06・6444・0587)。 (22面に「あなたの愛の手を海を越えて」)